『ラビング 愛という名前のふたり』〈2016年 英・米〉
1958年、異人種間の結婚を禁じる法律がいくつもの州でまかり通っていたアメリカ。「一緒に居たい」の一心で結婚したレンガ職人のリチャードとミルドレッドは逮捕され州外に追放、10年に及ぶ裁判の末、法律の変更を勝ち取るという実話です。こんな法律があった事も驚きですが、この波瀾万丈なふたりの日常を「盛る」ことなく、ただ淡々と描写する演出が、邦画『この世界の片隅に』(’16)を彷彿させつつ、じわじわと胸に沁みます。制作者の強い信念も内包した良作でした。 〈シネマ ジャック&ベティにて〉